愛知と静岡の県境、かの有名な佐久間ダムを擁する佐久間町、
今は合併で浜松市天竜区佐久間町に、JR飯田線(豊橋~飯田~辰野)の
列車の半数が終点となる「中部天竜」という駅があります。
ここにはかつて機関区があって、1985年に廃止され、国鉄の分割民営化後の1991年に
残っていた留置線と詰所建物を流用して「佐久間レールパーク」という鉄道公園がオープンしました。
主宰は開業当初、親に連れられて友達と行ったのですが、集められた車両選定の良さと
飯田線自体の魅力が合わさって、何回行っても楽しい場所でした。
それが、折からの「鉄道ブーム」?とやらで大宮に鉄道博物館と称するテーマパークができたり、
そういったモロモロの影響で、名古屋港に新しくでっかい博物館をつくるため、
ここの車両の一部を収蔵するという事で、この10月いっぱいをもって閉園するとの事。
目玉であったクモハ52形という、貴重な戦前製の流線型電車が中途半端な復元改造を受け、
更にクモエ21形という珍しい救援電車が解体されてしまった事、
展示車両が増え過ぎてキャパを越え、車両の撮影や観察が非常にやりづらかったり、
また豊橋までの在来線も好きだった国鉄時代の車が一斉に整理されてしまったりと
ついつい足が遠のいてしまっていたのです。
しかし無くなるとなると収蔵車両をお日様のもとで撮ったり見たりする事が
叶わなくなってしまうのと、飯田線を走っている119系という電車が
1982年の登場当初の塗装に復元されるというので、これはゼヒ見たいという事で
仲間を誘って行って来たのです。
8月30日の5時15分。藤沢から東海道線の始発電車熱海行に乗りました。
待ち合わせた1号車はけっこう混んでいて、横浜在住のY氏はボックス席が取れず、
ドアー脇のロングシートに座っていました。
愛知出身の横浜国大生。名古屋人を自称していますが、住んでいたのは東海市という
県外の人間にはどこだか判らない漠然とした都市。
名古屋から中部国際空港へ向かって赤い名鉄電車に乗ると、太田川という分岐駅があって
その辺を東海市というらしいです。Yいわく、「蕗が特産」との事。
平塚で厚木在住のえーじ氏と落ち合い、
ボックス席を求めて15両編成の後ろへ。14号車に空きを発見して、ようやく落ち着きます。
かつてこの列車が沼津行だった頃は18きっぷのシーズンでももっとガラガラで、
席を探す必要はなかったと記憶しています。車内放送も「おはようございます」から
始まり、朝焼けの相模湾を眺めつつ旅の始まりを実感したものですが、
今は無愛想な自動放送となり、ガラスも色付きでいまいちムードがありません。

2009.08.30 早川
小田原から先にはこういう駅名板が残されています。たぶん、ワザとだと思う。素敵。
しかし電車は新しくなってしまいました。
6時15分着の終点熱海でのりかえ。ここからJR東海になります。
静岡方面行は向かいのホームにいました。
313系という、顔に白粉をたっぷり塗った2006年製の新形車と、
211系という、民営化直後の1988年につくられた「俺の中では」新形車。
なんとなく、俺の中での新形車に乗ります。どっちに乗っても大して差はないのですが、
強いて言えば88年の方が窓が多くて明るくて気持ちイイ。
金を払ってまで壁の広告を見たいとは思いません。
窓が汚れていますが、これは車の責任ではありません。
6時20分、熱海発。
この電車は島田という、大井川の手前の駅までしか行かない札止め列車なので、
沼津から先のどこかで後続の浜松行に乗り換えなければなりません。
この乗り継ぎは20年以上変わらず、これまで様々な駅で乗り換えてきましたが、
今回は「吉原」でどうだろうと。吉原は沼津から4つ目で、岳南鉄道というパルブを運ぶ為の
ローカル私鉄が来ています。それを見られれば有意義に時間が潰せる。
しかしえーじ氏は食べ物を買いたい気もするらしい。
売店のありそうな吉原駅ではありません。じゃー吉原に何かいたら吉原で、
いなければ次の富士駅で乗り継ごうと。
はたして、吉原駅には岳南鉄道の姿は見えず、パルプ輸送の青い貨車が数両いただけでした。
しかし列車が吉原を出ると、元京王井の頭線の車が入ってきました。惜しい。
パルプチップの山を眺めて7時ちょうど、次の富士駅で下車。

DE10 1727 2009.08.30 富士
降りた目の前にこんなのが。昔と色が変わってますが、更新工事を受けると色が変わるらしい。

クモハ211-5024 2009.08.30 富士
反対側に、上りの熱海行。すぐ発車するかと思いきや、なかなか出ません。
調べたら、富士着7時ちょうどの8分停車らしい。本線にしてはなかなか長い。

クハ312-3007 2009.08.30 富士
身延線の区間列車、西富士宮行です。ここも新形車だけにされてしまいました。つまんない。
身延線を撮ってたら、東京方面から列車が入って来るのが見えました。
慌てて静岡方面のホームに戻ります。これを逃すと、スケジュールが大幅に狂うのです。たぶん。
今回の(いつも)旅程はえーじさん任せなので、たぶん。
7時11分、富士発。今度は313系。静かで空調もすぐ効いて振動も少ないけど広告が目立ちます。
やっぱりJRになって10年以上経つとそこかしこに打算が見え隠れしていけません。
民営化直後は国鉄から一生懸命脱皮しようとしてて、その心が設計から伝わって来たものです。
景気が良かった事もありますが。
えーじがいなり寿司を食べています。
「いなり寿司って金出して買った事ない」と言うと、「俺けっこう買うよ」と。
なんでも当たり外れの心配がないんだとか。
そこから金だしてまで買って食わないものの話になり、マドレーヌで3人の意見が一致。
あれは買った人自身も、食べずに人にあげて、それを「小腹が空いてたら」食べるという結論に。
なんだかカワイソウなお菓子です。
静岡県内は快速が殆ど走ってないに等しいので各駅に止まり、浜松には9時1分に到着。

クハ312-2310+クハ116-203 2009.08.30 浜松
右の列車は豊橋行。乗り継ぐ場合はコレに乗ります。
今回、JRはここでひとまずおしまい。